〈 4月例会のお知らせ 〉
4月12日(土)2時より
法政大学 市ヶ谷キャンパス ボアソナード・タワー26階スカイホール
*今回月例会から法政大学(市ヶ谷キャンパス)
にて開催することとなりました。
場所・会場をお間違いのないよう、お気をつけください。
あるアメリカ文学的主題
メルヴィルの『ピェール』とフォークナー作品をつなぐ
講師:牧野 有通
司会:髙尾 直知(中央大学)
メルヴィルの『白鯨』をアメリカ文学作品の中で最も重視するフォークナーは、どのようにメルヴィルからの「認識の衝撃」を受け止めていたのか。それを具体化しようとする時、『白鯨』に次ぐ問題作『ピェール』を素材として取り上げると、フォークナーが自作品で「心に衝撃をおよぼす認識」をどのように反映させているかを例証することになり、ひいてはアメリカ文学に特有の主題を展望することにもなりうると思われる。この視角の下で、『白鯨』のエイハブを含むイシュメイル・ヒーローが、キリストの生涯の逆説的な寓意として、「父」に見捨てられ、「世界」に反逆し、破滅してゆく様相を、『八月の光』のジョー・クリスマスのデスパレットな生涯に重ねて見ることは可能である。また『ピェール』のピェールは、「父」に見捨てられる孤児となることによって、「(建国の)父祖」を神格化し、家系をキリスト教に由来する「崇高性」で彩って来た「名家」が、その実態として奴隷制擁護イデオロギーを中核に維持する白人家父長権威主義の表装をまとっていたことを透視するに至る。しかしその欺瞞を暴露しながらも「父権」体制の中で破滅せねばならぬという宿命は、『アブサロム、アブサロム!』のヘンリーの担うサトペン家の「罪業」の経緯と重なるものがあると思われる。このような「父に見捨てられる孤児」が、「名門・名家」を「暗い家」へと転覆し、その破滅的生き方の中で、地上におけるキリスト教国家の欺瞞を暴露するという主題をひとつのアメリカ文学的特殊性として議論してみたいと思う。
特別講演終了後、法政大学ボアソナード・タワー26階スカイホール
議題:活動、会計報告、委員の交代、その他
2025年度支部総会は、特別講演会場である
法政大学ボアソナード・タワー26階スカイホールにて引き続き開催されます。
お間違いのないよう、お気をつけください。