〈4月例会のお知らせ〉
2024年4月13日(土)午後2時より
慶應義塾大学 三田キャンパス
西校舎527教室
アメリカはどこに位置しているのか? 私はどこに立っているのか?
inter-という接頭語とのおつきあい
下河辺美知子(成蹊大学名誉教授)
司会:古井義昭(立教大学)
空間的位置取り(spatial orientation)とは身体の置場所や姿勢と周りの空間との関係を取り結ぶ能力のことである。私たちの世界認識および歴史認識は現実把握によって行われているが、その手段の一つとして空間認識による自己認識がある。
アメリカ文学・文化研究を続けてきた中でこの空間的位置取りという概念が私のリサーチの底流にあった。その時期その時期の批評動向にかかわりながらアメリカを研究してきたが、振り返ってみるとアメリカ国家を空間把握による自己認識というフレームでみるときに研究対象としてのアメリカの面白さが浮き上がってきたように思う。
本講演においてはinter- という接頭語を使って様々なレベルの空間的位置取りをたどってみる。 between, among, togetherといった意味のこの接頭語は、二つ以上の場所の“間”を示す合成語を作る。18世紀のアメリカ、19世紀のアメリカが大陸間 (intercontinental) において自国の位置をどのようにとらえていたのか。大西洋を横断したり太平洋へ乗出すとき、大洋間(interoceanic)の移動はグローバリゼーションをどのように支えたのか。現実の場と地図の上の記号との間(inter-)の関係は空間所有への欲望とつながっていく。
研究領域を横断する学際的アプローチ(interdisciplinary)な関係の中で、アメリカ文学文化研究はどのような位置にあるのだろうか。そして、研究者は研究対象に対してどのような位置に立っているのか。inter-という概念にひきつけてひとつひとつ考察していきたい。
特別講演終了後、西校舎527教室
議題:活動、会計報告、委員の交代、その他
2024年度支部総会は、特別講演会場である西校舎527教室にて開催されます。
お間違いのないようお気をつけください(例年の会場である、AB会議室ではありません)。